新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業【東京都】
東京都には補助金や助成金が多く存在し、2024年度は最大800万円とものづくり補助金と同等規模の「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」が展開しています。
「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」とは、どのような制度なのでしょうか?
著者:補助金コンサルタント 志摩晃司
更新日:2024年10月29日
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新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業とは?
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業とは、東京都中小企業振興公社が展開する一般公募される助成金です。
ポストコロナ等における事業環境の変化を課題と捉え、対応策として、事業者が創意工夫のもと「これまで営んできた事業の深化又は発展(下表参照)」に取り組み、これが経営基盤の強化につながると認められた場合に、当該取組に必要な経費の一部を助成します。
要件を満たし、採択されれば最大800万円まで資金を受け取ることができます。
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の取り組み例
ではどのような取組が助成対象になるのでしょうか?公募要領によると、2つの展開例が記されています。
■助成対象となる取り組み
①既存事業の「深化」
経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業自体の質を高めるための取組
・高性能な機器、設備の導入等による競争力強化の取組
・既存の商品やサービス等の品質向上の取組
・高効率機器、省エネ機器の導入等による生産性の向上の取組
②既存事業の「発展」
経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業を基に、新たな事業展開を図る取組
・新たな商品、サービスの開発
・商品、サービスの新たな提供方法の導入
・その他、既存事業で得た知見等に基づく新たな取組
■助成対象外となる取り組み
・申請者が営んできた事業内容との関連性が薄い、又は全く無い取組
・法令改正への対応など、義務的な取組
・単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取組
注意したいのが、既存事業との関連性が全くない無いと通らない点です。
全く手を付けていないビジネスや強みを活かしていない新規ビジネスは対象外となりますのでご注意ください。
これから取り組む事業が対象となるか知りたい方はまずはお気軽にご連絡をください。
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の概要
■助成対象者
・中小企業であること
・法人:本店又は支店の登記が都内にあること
・個人:納税地が都内にあること
・直近決算期の売上高が「2019年の決算期以降のいずれかの決算期」と比較して減少している、又は直近決算期において損失を計上していること。
売上が減少しているまたは直近の決算が赤字でなければ対象外となります。
■助成対象経費
●原材料・副資材費
●機械装置・工具器具費
●委託・外注費
●産業財産権出願・導入費
●規格等認証・登録費
●設備等導入費
●システム等導入費
●専門家指導費
●不動産賃借料
●販売促進費
●その他経費
※委託・外注費のうち「市場調査費」、「専門家指導費」「販売促進費」「その他経費」の単独の申請はできません。
※販売促進費は、既存事業に係る販売促進については対象外となります。
ものづくり補助金のようにまずは機械装置やシステム投資の計画を中心に
その他の経費はサブ的な位置づけで計画を立てる方が採択されやすいでしょう。
■助成額
補助額:800万円
補助率:2/3
たとえば新規の取組で2000万円の設備を導入した場合、2000万円×3分の2=1333万円、上限800万円の助成が受け取れることになります。
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請スケジュール
直近の締め切りは以下となります。毎月中旬に締切が設定されています。
第8回:令和6年11月1日から11月14日まで
※今月から先着順ではなくなりました。
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業 審査の観点
審査項目について、事業計画書に盛り込むべきポイントを以下にまとめました。
各項目に対して適切に対応することで、審査をクリアしやすくなります。
●発展性(既存事業の深化・発展に資する取組か)
今回の投資が既存事業をどのように深化・発展させるのかを明確に記述します。
具体的には、生産性の向上や技術力の強化による競争力の強化、売上の拡大などを示します。
・深化:
競争力強化についての説明(例:新技術導入により競合他社を凌駕する技術力の獲得)。
品質向上についての説明(例:新設備の導入による製品品質の向上)。
生産性向上についての説明(例:自動化技術導入による生産コストの削減)。
・発展:
自社の強みを活かした取り組み(例:特許技術の活用による新製品の開発)。
売上の拡大(例:新市場への進出による売上増加予測)。
●市場性(ポストコロナ等における事業環境の変化前後の市場分析は十分か)
事業環境の変化を踏まえた市場分析を行います。コロナ前後の市場規模や動向、競合他社と自社の比較などを具体的に記述します。
・コロナ後の市場規模、市場動向、市場の特徴。
・競合他社との比較分析(強み・弱み、自社のポジショニングなど)。
●実現性(取り組むための体制は整っているか)
取り組みを実現するための社内外の体制について説明します。
社内体制の整備状況や社外協力体制について具体的に記述します。
・社内体制: プロジェクト進行管理の体制 補助金対応の体制。
・社外協力体制: 技術面のサポート体制(外部専門家や技術パートナーの存在)。販促面の協力体制(マーケティングパートナーとの連携)。資金調達面の支援体制(金融機関との関係性)。
●優秀性(事業者としての創意工夫、今後の展望はあるか)
中小企業ならではの創意工夫や今後の展望について説明します。
資本が少ない中での工夫や、事業の発展性、協力会社や地域への影響について具体的に記述します。
・創意工夫:
資本が少ない中での独自のやり方(例:フットワークの軽さを活かした市場対応)。
・今後の展望:
事業の発展計画(例:新製品の市場投入計画)。
協力会社や業界、地域への影響(例:地域経済の活性化への寄与)。
ブランディング戦略(例:新たなブランドイメージの確立)。
●自己分析力(自社の状況を適切に理解しているか)
自社の状況を適切に分析し、事業計画に反映します。
市場分析、競合分析、自社分析を具体的に行い、SWOT分析などを用いて状況を漏れなく説明します。
・市場分析(市場の規模、成長性、トレンド)。
・競合分析(競合他社の強み・弱み、自社の競争優位性)。
・自社分析(自社の強み・弱み、機会、脅威)。
・外部環境の分析(法規制、経済環境、技術環境)。
・SWOT分析(自社の強み・弱み、機会、脅威の総合評価)。
これらのポイントを網羅的に盛り込むことで、審査をクリアしやすい事業計画書を作成することができます。
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