令和6年度補正予算案に基づく補助金最新情報
令和6年度補正予算案に基づく補助金情報速報!
著者:補助金コンサルタント 志摩晃司
更新日:2024年12月12日
2024年11月29日、令和6年度補正予算案が閣議決定され、経済産業省より関連資料が公開されました。今回の記事では、この公開情報を基に、来年度以降の補助金制度がどのように展開されるのかを解説していきます。
【参考にした資料】※12月12日時点
今回の内容は以下の経済産業省資料を基にしています。
経済産業省関係令和6年度補正予算案の概要
令和6年度補正予算案の事業概要(PR資料)
令和6年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)
主要な中小企業向け補助金の継続について
これまで中小企業支援の柱として位置づけられてきた代表的な補助金について、継続される予定であることが示されています。 以下が継続対象となる補助金です。
・ものづくり補助金
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
これらの補助金は「中小企業生産性革命推進事業」に位置づけられており、予算規模は3,400億円とされています。
(令和4年度および令和5年度の同事業の予算規模は約2,000億円)
中小企業生産性革命推進事業の概要は以下です。
中小企業生産性革命推進事業【3,400億円】
物価高や最低賃金引上げへの対応、中小企業における持続的な賃上げの実現のためには、稼ぐ力を強化することが必要。そこで、革新的な製品・サービスの開発やデジタル化、販路開拓、事業承継・M&A を加速するため、 ものづくり補助金、IT 導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継・M&A補助金によって、中小企業・小規模事業者の生産性向上を実現する。 また、売上高 100 億円を目指す成長志向の中小企業・小規模事業者の成長投資をハード・ソフトの両面で支援する。
経済産業省関係令和6年度補正予算案の概要より引用
物価高や最低賃金の引き上げといった課題に対応しながら、中小企業の「稼ぐ力」を強化するための施策が盛り込まれています。
物価高の中での賃上げは、従業員の生活を守るだけでなく、企業の持続可能な成長を支える、これからますます重要なテーマとなっていくでしょう。
補助金制度においても、賃上げが必須要件として位置づけられるケースが増えてきています。
主な変更点と措置拡充
最低賃金近傍の事業者支援: 補助率を 1/2 → 2/3 に引き上げ(ものづくり補助金、IT導入補助金)。
設備投資や取引実態等に合わせた補助上限・枠・要件の見直し。
■ものづくり補助金
・製品・サービス高付加価値化枠の従業員区分を見直し、21人以上の中小企業を対象に補助上限を引き上げ。
・賃上げ要件の運用等を見直し。
・最低賃金近傍の事業者支援: 補助率を 1/2 → 2/3 に引き上げ
従業員区分については、これまで5人以下、6~20人、21人以上という区分けでしたが、20人以下と21人以上という2つの区分けになるようです。上限金額の設定が気になるところです。
従業員区分については、賃上げを実施している企業を優先する姿勢が、今回の見直しでも鮮明に打ち出されています。中小企業にとって、持続可能な賃上げを実現するための支援として重要な施策といえるでしょう。
■IT導入補助金
・セキュリティ枠の補助上限引き上げ、要件見直し。
・導入後支援や汎用ツール導入の補助対象化。
・最低賃金近傍の事業者支援: 補助率を 1/2 → 2/3 に引き上げ
「導入後支援」が補助対象に加わったことで、IT導入支援が初期導入フェーズから次のステップへと移行したことが読み取れます。企業のデジタル化をさらに後押しする仕組みが期待されます。
■小規模事業者持続化補助金
・経営計画策定に重点を置き、枠の整理・制度簡素化(通常枠・創業枠への再編)。
枠組みが簡素化されることで、補助金の使い勝手が向上し、特に小規模事業者にとってより利用しやすくなると期待されます。
■事業承継・M&A補助金
・PMI推進枠の創設、早期承継促進枠の再編。
・M&Aに関するデューデリジェンス費用支援拡充。
事業再構築補助金の後継補助金が新設
既存補助金の継続に加えて今回から新たに追加される補助金も発表されました。
■新事業進出補助金(内容的に事業再構築補助金の後継版)
新事業への進出にかかる支援の推進(新事業進出補助金の創設)【既存基金の活用 (1,500億円規模)】
中小企業・小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援するための新たな支援措置を創設
要件 :企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦(新規性)や賃金要件等
補助対象経費:建物費・機械装置費・システム構築費・技術導入費・専門家経費 等
内容を見ると、事業再構築補助金と同様に、新規事業への投資を強力にサポートする内容です。特に 「建物費が補助対象」 となっている点が大きな特徴です。ものづくり補助金では対象外だった建物費を含む設備投資が可能となり、事業拡大に必要なインフラ整備を進めやすくなっています。
一方、事業再構築補助金の後半では、制度が複雑化し、事務局対応の難易度が上がったほか、採択率が25%前後と低かったため、非常に使い勝手が悪いとの指摘もありました。本補助金では、こうした課題が改善され、より活用しやすい制度となることを期待したいです。
省力化補助金についての朗報
カタログ登録がなかなか進まず、うまく活用できていなかった省力化補助金については、オーダーメイド形式が新設されました。
省力化投資支援の運用改善
オーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援の新設、カタログ形式の省力化投資支援の運用改善など、全方位型の省力化投資支援へ再編【既存基金の活用(3,000 億円規模)】
これまでは登録されたカタログ内の製品に限られていましたが、新たにオーダーメイド形式も対象となることで、企業ごとのニーズに応じた柔軟な設備投資が可能になり、非常に使い勝手が向上することが期待されます。
まとめ
今回の令和6年度補正予算案に基づく補助金制度の改正や新設は、中小企業にとって非常に前向きな内容だと感じました。最低賃金近傍の事業者に対する補助率の引き上げや、補助要件の柔軟化は、幅広い企業が利用しやすい仕組みを提供し、現場の実態に即した支援に繋がっています。一方で、これらの補助金を有効活用するためには、申請企業側の取り組みも重要です。特に、補助金要件には「賃上げ」や「新規性」など具体的な基準が含まれるケースが増えているため、事前にこれらをしっかり理解し、自社の計画に反映させる準備が必要となります。また、具体的な目標設定や実行可能な計画の構築が欠かせません。専門家の力を借りることも、採択率向上の有効な手段となるでしょう。さらに、補助金の利用を単なる一時的な資金援助として考えるのではなく、自社の中長期的な成長戦略に結びつける視点を持つことが重要です。補助金を通じて得られる設備やシステムは、その後の経営効率化や事業拡大にどう繋がるのか、具体的な見通しを立てた上で活用することが、真の効果を引き出す鍵となるでしょう。
補助金制度は「使いやすく」なったといえますが、それを活用する企業にはより高い計画性と実行力が求められます。制度の詳細を把握しつつ、自社の経営課題や将来像に即した形で活用できるよう、しっかりと準備を進めていくことが重要です。
最新情報のご案内
本記事は、2024年12月12日時点の情報を基に作成されています。補助金情報は随時更新されるため、新しい情報が入り次第、こちらでお知らせいたします。
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